のこ
鋸刃物鍛冶 岡秀

おか
まさ
ふみ

 

人吉市

1956年
熊本県人吉市に生誕。
高校卒業後、兄とともに父に師事。鋸鍛冶の修行をしていた矢先、兄が急逝、家業「岡秀」の2代目となる。
2008年
「森の名手・名人」に認定。

 

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岡正文 氏インタビュー記事(2010年頃)

のこといえば、型押プレスによる大量生産。そんなイメージの方が多いと思いますが、岡さんの鋸は明らかに違います。刃先の並び方に目を凝らすと、実に巧妙な手仕事だと分かります。1目ずつ左右に歯を振り広げた横鋸刃で木の繊維を裁断し、垂直の縦鋸刃が残りを削り取ります。
その横に、おが屑を逃がす“湾”を設けることで、縦挽きにも横挽きにも抜群の切断能力を発揮します。高い技術を要するこの改良刃鋸を作っているのが、人吉市『岡秀』二代目の岡正文さん。九州で唯一の鋸鍛治師です。
やすはがねを鍛造し、金床で形を整えてから形成、目落とし、荒目立て、焼入れ、焼き戻しなど17もの工程を必要とする鋸鍛冶。鋸1本につき約65の目数を付ける目落としは、両側の角度を微妙に内側にすることで力が集中するよう調整。
中でも「これが出来ないと鋸鍛冶師にはなれない」という作業が、ゆがみ取りと目立てです。一作業ごとに生じる歪みやねじれを、歪みヅチで叩きながら折り合いをつけます。歯の1本ごとにヤスリや砥石で角度を修繕していく目立ては、最低でも3回は必要です。