【川尻刃物】

はやし
しょう
ぞう

 

熊本市

 

1928年
熊本市に生誕。
3代続く鍛冶屋の4男として生まれ、徴兵で亡くなった兄に替わって昭和21年から4代目としてこの道に
川尻刃物で最も長い歴史を数える大ベテラン

 

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林昭三 氏インタビュー記事(2010年頃)

熊本が細川藩主の時代、職人町として栄えた熊本市川尻。なかでも川尻刃物の歴史は古く、室町時代になみのひらゆきやすうの流れをくむ刀鍛冶が始まりといわれています。
今では数少ない鍛冶屋の中で、最も長く川尻刃物を作り続けているのが林昭三さんです。林さんの包丁は、長年変わらない切れ味が特長。数十年使い込んだ菜切り包丁の研ぎ直しを依頼されることも多く「良いモノを作ると長持ちするから、儲けにはなりませんね」と苦笑い。試しに研ぎ修理を終えた包丁の刃先を1枚の新聞紙に当てるとスッパリと一刀両断。抜群の切れ味は長年使い込んだものとは思えないほど。
単純な工法で大量生産される包丁が主流の今、林さんが手作業で作る包丁は、せいぜい3日で10本程度。さらにプロ用となると、1本を作るのに3日がかりだそうです。軟らかな鉄の中心に溝をつけ、島根県で採れる良質の“やすはがね”を挟み込む。炉で熱を加え、1000℃に達したところで叩き付けて密着させていく。これが “割込みたんぞう”の手法です。1500℃になると鉄が溶けてしまうため温度の見極めが難しく、長年の勘がモノをいいます。